Share

第60話 迎えに来た男

Author: 雨音休
last update publish date: 2026-05-25 06:17:56

過去の話。

小学生時代、ユウマには真帆以外にも親友がいた。そいつは男であり名前はニキト。気さくな明るい性格であり肌は色黒である。ニキトにとって、肌が黒いことはコンプレックスだったようだ。

小学校の休み時間、クラスメイトの意地の悪い連中に「真っ黒黒すけ出ておいで」とニキトはからかわれていた。某アニメ映画の有名なセリフである。

ユウマはいじめっ子と真っ向から対立して叫んだ。

「お前ら、くだらねーこと言ってんじゃねーよ!」

いじめっ子のリーダ格の男の子がつまらなそうな顔をする。

「何だよ、ユウマ。お前ニキトの味方をするのか?」

「味方とか知らねーけど、いじめなんて面白くねーだろ」

「正義の味方ぶりやがって。おいみんな! ユウマをやっちまおうぜ!」

「来てみろ!」

みんな小学生である。子供たちは取っ組み合いの喧嘩になった。

「ユウマくん!」

ニキトは思わず声を張り上げた。走り出してユウマに加勢し、一緒に戦ってくれた。

子供たちは髪の毛を引っ張り合い、相手の体を本気で殴り、蹴りが股間に当たった子供は泣き出した。やがて誰かが先生を呼んでその場は収拾がつく。
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第163話 好きな人がいるから

     ユウマが高校一年生の頃の話。 その日。図書館で調べ物をするためにユウマは早起きして学校へ向かっていた。 七見丘駅まで自転車で向かう。田んぼに囲まれたアスファルトの道をのんびりと進む。田んぼには水が張られており、良い景色を見渡せた。梅雨時だが今日は晴れていた。むしむしとした空気が身体を撫でる。もうすぐ夏が来る。今年も酷暑だろうか? 駅で自転車を止めて電車に乗った。早朝であり乗客は少ない。イヤホンで音楽を聴いていた。ゆらりと揺られて目的の駅に到着する。ここからは徒歩だった。シャッター街と化した商店街の歩道を歩いていく。高校に着くと玄関で靴を履き替えた。 何の変哲もない一日。 それは、学校の渡り廊下を通ったところで激変する。「真帆さん、俺と、付き合ってください!」 渡り廊下のすぐ近くの地面で、一人の男子生徒が真帆に告白をしていた。 靴ひもの色から、相手は上級生だと分かる。 この高校は県でも名門校だ。ユウマは大学受験のために進学していた。どうしてか真帆も同じ高校に進学している。一年前、ユウマが真帆に必死こいて勉強を教えたのだった。その頃、真帆は言った。「頭の良い高校を出た方が、就職に有利よね!」「まあ、確かにそれはそうだが、お前、勉強は大丈夫か?」「大丈夫だわ。ユウマが教えてくれるもん」「……おいおい」 真帆は運良く受験に受かった。そういう訳で二人は高校を同じくしている。 真帆はバドミントン部であり朝練があった。だから早く来ている。朝の通学ではすれ違ったようだ。 上級生は真剣な顔つきである。 部活の半袖を着た真帆の頬がほんのりと桃色に染まっている。 しまったと思った。(真帆、まさかオーケーするのか?) 大ピンチである。 ユウマはそっとしゃがみ込み、渡り廊下の壁に隠れた。 真帆のしんみりとした声がした。「ごめんなさい、先輩。あたし、好きな人がいるから」「それって誰

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第162話 好きだらけ

     最初はトワのターンだった。 デートの制限時間は一時間。 ラグナシアのスナネコレストランに来ていた。 店の前にはスナネコの顔が描かれた看板が立っている。ラクダの銅像もある。建物はオープンエアになっており、砂地の上にテーブルと椅子が並べられていた。何とも開放感のある店である。四つの角には柱が立っており、黒い布が張られ、屋根となっていた。日差し対策だった。カラッとしたそよ風が吹いており、トウマの青い前髪がふわりと揺れる。 プレイヤーの客が多く、料理を楽しみながら同伴者との会話に花を咲かせている。人々のほとんどがトワと同じエバグルを着ていた。着ていない者には暑さデバフがかかっている。HPが少しずつ削れている。 余談だが、遺跡から帰還した後で、トウマたちはすぐに服屋に寄った。その時にトワはエバグルを作成している。 いま、トウマとトワはテーブルに対面で腰かけていた。パニロという名前の料理を食べている。ラクダの肉と野菜の煮込み料理であり、独特のスパイスが効いていた。甘辛い味わいがする。ラクダの肉は牛肉と同じような味であり、ちょっと硬かった。 トウマはパンを千切って煮込みの汁につけて食べる。甘辛くて柔らかい。 トワは落ち着かない様子だった。震える手でフォークを持ち、肉を口へ運ぶ。 トワが話しかけた。「お、王子様」「ああ、どうかしたか?」「ご趣味は?」「趣味か」 ここはお見合い会場かどこかだろうか?:初々しい会話w:私はトワさん推しです!:BL真っ盛りだなw トウマは気にしたふうもなく答える。「釣りが趣味だな」「釣りか。川釣りか? それとも海釣りか?」「どっちも好きだな」「ふーん、今度俺も連れていけよ」「機会があったらな」 店の隅っこには仲間たちがいて、二つのテーブル席を陣取っている。トウマとトワのデート風景を興味津々と眺めていた。 キャルル丸が皿に置かれた肉の塊をバクバクと頬張って

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第161話 恋のライバルは男

     ラグナシアの道具屋だった。 いまちょうど雨が降っていた。空は曇っており、道具屋の屋根をしずくがしとしとと叩いている。水気を含んだ砂地は焦げ茶色に染まっていた。町のNPCたちは両手を広げて空を仰いでおり、「恵みの雨だー」と声を上げている。子供たちが嬉しそうに小躍りしていた。ラクダが舌を出して雨を舐めている。「グオォー」と低い鳴き声が響き渡った。 砂漠に雨が降ることは滅多にないと聞く。もしかしたらトウマたちがボスを攻略した影響なのかもしれなかった。枯れていたオアシスは水を取り戻すのかもしれない。:雨だ!:これでオアシスに水が戻る。:ガラボロスが撃破されたみたいですね。 道具屋の屋根の下、ベルフラウたちはソフトクリームを食べていた。野営地から帰還すると、食材屋では牛乳が売っていたのである。三種のアイスクリームのレシピのうち、一つはこれだった。舐めてみると、ソフトクリームはすぐに溶けてしまいそうなほどの乳脂肪分が含まれている。とても甘くて深みがある。 もちろんベルフラウがダンスして作った。 晴恋とアイギスが目を細めてソフトクリームを舐めている。「アイ、美味しいね」「うん」「でもこれ、ミルクがすぐにしたたるから」「早く食べる」「きゃるるぅっ」 すでに食べ終えたキャルル丸が口をべろりべろりと舐めている。 ベルフラウの隣には朧月がいた。彼女もソフトクリームを食べている。もう片方の手には酒ひょうたんがあり、ゴクゴクと飲んでいた。「うむ、このソフトクリームは美味よのう。ベルフラウさん、カードを少し分けておくんなんし」「それはいいけれど。あの、朧月さんはいつまでついてくるのかしら?」「なんじゃ、冷たいことを言うではないか。わちきは暇なんでありんす。どこまでもついていくでありんすよ」「別にいいけれど。もしかしてうちのギルドに入りたいの?」「いえ、ギルドに入るつもりはありんせん」「ふ、ふーん」「どなんした? もしかして、わちきに入ってほしかったんでありんすかぁ?」「い、いえ、別にいいのよ」「おーほっほっほ」(もう、何なのよこの人は) ベルフラウは眉をひそめて首をひねった。 雨がやんだ。 道具屋の扉から顔を出すと、道の向こうからトウマが歩いてくるのが見える。ベルフラウは外に出て手を振った。そこで眉をひそめる。 トウ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第160話 雨を晴らす者

     渡り通路をくぐった先に祭壇が見えてきた。祭壇には赤いケープを羽織ったガイコツがいる。両手に持つ杖を掲げ、空に向けて口を大きく開いていた。雨を吸い込んでいるようだ。口には水の渦が出来ている。地面の水が波立っており、ガイコツの足下へ集まっていく。吸収した水分は青いオーラとなり、ガイコツを包み込んでいた。 ボス、ガラボロス。 トウマが立ち止まって振り返った。自然とみんなの足も止まる。 トウマが凜々しい顔をひきしめた。「みんな、ガラボロスがいたぞ」「ご主人様、どうやって倒しますか?」 ウミが聞いた。濡れそぼった尻尾がたゆんたゆんと揺れる。「敵は祭壇の上にいるからな。とりあえず遠距離攻撃をしてみよう。敵が来たら、ウミ、前衛を頼めるか?」「お任せくださぁい」「おい、王子様!」 トワがハスキーボイスで声をかける。くっきりとした眉が男前である。「ん、どうした?」「俺は何をすればいい?」「トワさんも前衛だからな。ウミと同じ動きをしてくれ」「分かったけど。ちょっと待て!」「ん、何だ?」「王子様、俺のことはトワで良い。さんは要らねえ」「……トワさんで良くないか?」「この野郎おおぉぉおおお!」 トワが吠えた。 トウマがびくっとして後ずさりする。 ウミもさすがに猫耳を伏せた。 ニキは鼻の穴を膨らませて笑いをこらえている。 トワがふうと息をつく。注意するように声を紡いだ。「トワで良いからな」「そ、そうか。じゃあトワ、作戦通りよろしく頼む」「いいぜ、王子様」 トワがニヤと笑った。 トウマはニキに視線を向ける。「ニキさん、俺と一緒にボスを遠距離攻撃だ」「トウマさん、プラズミックガンで一掃すれば早くないかい?」「それはニキさんの判断に任せる」「オーケー! よおっ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第159話 唇をもらうぞ

     カルチア遺跡。 朽ち果てた遺跡だった。正面には二階へと続く階段が見える。だけど階段だけだ。上のフロアはごっそりと崩れ落ちていた。天井のない茶色い壁で囲まれた砂地をウミは踏みしめて歩く。奥へ奥へと向かっていた。雨が降りしきっているせいで水着が濡れそぼっていた。長い茶髪もぐっしょりである。髪が肌にペタペタと張りついており、気持ちが悪かった。雷もゴロゴロと鳴っている。空がひび割れるような轟音だった。かなり怖い。鳴るたびにウミの尻尾が上へ下へと跳ねる。 瞬間、雷が落ちた。「ななな何ですか!?」 ウミは激しく動揺した。 雷が遺跡の壁を直撃する。 目がくらむようなフラッシュがあった。 轟音。 ウミたちはびっくりして両手で耳を塞いでいた。けたたましい音の後で、耳の奥がキーンと鳴る。壁には亀裂が入り黒く焦げていた。壊れた壁の欠片が地面にどすどすと落ちる。(……び、びっくりしたですぅぅ) みんながぎょっとした表情をしていた。 おそるおそる顔を見合わせる。 トウマが渋い顔で声をかけた。「みんな、気をつけて行こう」「王子様、守ってやるからな」 トワが頼もしい顔でトウマの肩に手を置いた。「いや、守らなくていいぞ」「守るつってんだろうが!」「……そ、そうか」 トウマは首をかしげている。 ウミは目を細めてトワの顔を凝視した。(この人、何か変ですぅ) ニキははらはらとしたようであり、それでいて笑いをこらえているようでもある。 再び歩き出す。 先頭ではトウマとトワが肩を並べている。肩の距離がやけに近い。トワはぶっきらぼうな口調だが、悪い人ではないみたいだ。だけどトウマと話すその顔が赤い。まるで恋する乙女のようだとウミは思った。 トワの格好は白い神職装束である。神官のようだった。身長はトウマよりも若干高い。185cmといったところか。肩や腕は露

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第158話 運命の王子様

     カルチアの遺跡。 遺跡の入り口で、今まさにトワは息絶えようとしていた。壊れた壁に背中をつけて尻餅をついている。 遺跡にはどうしてか雨が降っている。だから暑くは無い。暑さデバフも無い。だけど先ほどサソリモンスターとの戦闘の際、尻尾に刺されてしまった。猛毒がトワのHPをドクドクと削っている。身体が緑色に染まっていた。デスペナルティが目前だった。(ちくしょう……俺は、死ぬのか?) 砂漠の町に来たところまでは良かった。 トワはすぐに服屋へ行った。ラグナシアの民族衣装、エバグルは暑さデバフを無効化するらしい。トワはエバグルを作るために、素材モンスターが出るこの遺跡に足を運んでいた。道具屋からはポーションを買い込んできていた。だけどちくしょう、解毒剤を買い忘れちまった。:トワさん、大丈夫!?:死んだなこれは……。 まぶたが重い。 視界がだんだんと暗くなっていく。 空を見上げる。口を開くと、雨つぶが唇と舌をポタポタと叩いた。 どんよりとした曇り空は、今の自分の心を代弁してくれているかのようだ。 ……もう、身体が動かない。 目も見えなくなってきた。 ダメだ。 死んじまう。 せめて、死ぬ前に粋の良い男と出会いたかった! トワが目を閉じようとしたその時だ。 ひたひたという静かな足音が近くで止まった。ラクダの足音のようだ。「グオォー」と間の抜けた声を響かせている。それと同時に三人の人間の声が聞こえてきた。「ご主人様、ここが遺跡ですか?」「そうみたいだな」「雨が降っているさ! ここにガラボロスがいるってことだよな」:誰か来た!:通りすがりの方、トワさんを助けて! 男が二人、女が一人いるようだ。女の声は子供っぽい響きがした。三人がラクダから降りる物音がする。男の一人がラクダにここで待っているように告げた。ラクダたちがその場に

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第4話 ヴァルの村

     ゴーレムを倒し終えると、ノーファンの村へと二人は転移した。 辺りには木造りの民家が立ち並んでいる。遠くを見ると森や山があった。地面は土。その道路で、トウマとウミは隣り合って佇んでいた。 「普通の村だな」「そのようですね」「とりあえず、狩り場に行くついでに、村を見て回ってみるか」「はぁい!」  二人で並んで歩き出す。 すぐに他プレイヤーの姿があった。 横切っていく通行人。その顔色は明らかに沈んでいた。他にも座り込んでいる女性がいた。壁にもたれかかっている男。空を見上げている魔法使いふう。誰もが死んだ魚のような目をしている。 異変に気づいたウミが声をひそめてつぶやく。不安に揺れ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第3話 排除

    ロッジのような一室。木造りの天井と丸太で出来た壁。そこのベッドにユウマは腰掛けていた。 ここがゲームの中らしい。 顔の前にはステータス画面のような半透明の青いボードが浮かんでいる。 システム音声が響いた。 「プレイヤー様。VALORIUMオンラインの世界へようこそ!」 「あ、はい」 「まず、プレイヤー名を決めてください」 「トウマで頼む」 彼の本名は冬野悠馬である。 「トウマ、その名前は使用できます」 「良かった」 「次にゲーム内職業を選んでください」 画面には様々な種類のジョブが並んだ。 そして右上には特別コード入力の文字。そこをタップして、暗記し

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第2話 ログネスト

     ログネストの玄関は広い空間になっている。背の高い天井。タイル敷きの綺麗な床。 しかし、空気は息苦しいほど重かった。 今も、通路からドリンクを汲みに来た利用客がある。ちらりと振り返ると、寝ていないような疲れた顔をしていた。 ふと隣には男性店員に連れられた太り気味の客がやってきた。太り気味の客は男性店員に頭を下げて大声を出す。 「待ってください! あと五時間、五時間プレイできれば、ヴァルを払えそうなんです!」「お客様、すでに退室の時間でございます」 (……ヴァル?) 背中に鳥肌が立つのを感じながらユウマはカウンターに向き直る。 茶色い受付台を挟んで、ユウマの前には女性店員が立って

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第1話 詰み

     それは、どこにでもある小さな“シアワセ”だった。 朝。寝息を立てているユウマの肩に、妻が優しく手を置く。 「ユウマ、起きて起きて」「むにゃむにゃ、もっと寝てたい」「駄目。会社に行く時間よ」「ぐぐー、ん、朝?」  瞳を開く。目の前には妻の優しい笑顔があった。ユウマはダブルベッドから上半身を起こし、右手を口元に掲げて大あくびをする。 「ふわあ」「あら、大きなあくびですこと」「朝食は?」「出来ています。着替えて、ダイニングへ来てくださいな」「ああ、分かった」  クスッと笑って妻が部屋を出て行く。スリッパの足音が遠ざかって行った。 ユウマはベッドから出て支度をする。ワイシャ

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status